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IRRSGリサイクルシンポジウムⅡ「今、そこにある危機」を拝聴して 熊大・外川健一

 

 

 6月28日、IRRSGの2018年第3回例会(通算では37回)「リサイクルシンポジウムⅡ 今そこにある危機!」が東京神田神保町の学士会館にて行われた。今回のテーマは「雑品」と「中国」。

 

 中国ショックに対峙して、日本のリサイクラー、廃棄物処理事業者がいかにこの危機を乗り越えていくべきか?活発な意見が出された。当日は筆者(外川)が総合司会を務めた。

 

 

1.E-zack 桐野様ご講演
 中国の環境規制を静脈資源の輸入に焦点を当て、解説。最近の中国の「人海戦術」を駆使したリサイクルヤードの現場にカメラが入る。そこには相変わらず歩合制で働く労働者が丁寧な処理を行う一方、港は閑散としており、雑品類のストックはほとんどない模様。


 しかし、中国ほどマーケット、技術が確立され、大量に循環資源を受け入れてくれるところは現状ではない。よって中国のライセンス取得者が「これなら買う」という高品質雑品の輸出に今しばらくは活路を見出そうという業者もいる、とのことだった。

 

 

2.数字でとらえる雑品ワールド 東港金属 福田様ご講演
 環境省や業界紙、日本メタル研究所、財務省貿易統計などを丹念に読み解き、分かりやすく雑品のこれまでと現状を解説。

 

 すでに中国系の業者が国内に小型シュレッダーを設置して雑品処理を始めている状況も初めて知ることができた。しかしこのような業者もそうだが、雑品をシュレッダーにかけた場合、そのダストがどうなるのか、古典的な問題にぶち当たる。

 

 自治体の既存焼却炉の経済合理的な活用な、事前協議制の一時撤廃など自治体への政策提言も盛り込みながら、国内処理は現状でも十分に可能であり、今の危機はそのままビジネスチャンスである、そのために連携が大切と強調。

 

 

3.GLOBAL Metal Industrial CORP 志賀様ご講演
 中国、台湾、アメリカで手広くシュレッダーミックスメタルスクラップを取り扱い、2次合金メーカーへの供給を行っているシグマグループの一翼を担う同社をめぐる経営状況。

 

 Zorba, Heavy Red , Heavy Gray Zurik などのシュレッダーミックスメタルの特徴を詳しくご紹介。

 

 そのうえでZorbaの中身も時代とともに変化してきたことを紹介。

 

 しかしこのようなシュレッダーミックスメタルのほとんどは、アメリカから中国へのフローが主で、香港経由からもたくさん中国が受け入れてきた。日本から中国へと出てくるシュレッダーミックスメタルはごくわずか。

 

 中国政府の規制強化は本物と感じた。

 

 というのも今週初めBIRから、中国が2020年末までに固形廃棄物の輸入をゼロにするということを公に公表した。やはりインドやイスラム社会という新しい販路を探すべきなのかいろいろ考えられるが、トランプ政権の閉鎖的な経済戦略も大きな影を落としていると感じた。

 

 

4.最終処分場からみた廃棄物の現状 都築鋼業 穂積様ご講演
 いわき市で廃棄物安定型処分場を運営しつつ、バイオマス、RPFの製造にも着手。今、業界の経営者にとって人材問題はやはり深刻。たとえばドライバー問題。時代は大きく変わった。

 

 産廃を出すお客さんに土日はないが、運搬するドライバーにはしっかり休んでもらわないといけない。そして、土日に手当てを増やしても、なかなかドライバーがOKと言ってくれない。

 

 中国ショックは、廃棄物処理業界にも及んでおり、処理困難物(ロール状の廃プラ)、使用済小型家電、産廃の受け入れを一時的にストップせざるを得ないほど、効いてきている。
お話をうかがって「小型家電リサイクル法」は中国頼みの促進法で、中国がだめならば、新たな仕掛けがなければ国内レベルではいかんともしがたい実態を知ることができた。

 

 

5.RPF事業の将来性 日本RPF工業会 石谷氏ご発表
 日本RPF工業会のご案内と活動からご説明。

 

 RPFの2016年の生産実績は128万トン。うち製紙向け60%、石灰工業向け 30%、 セメントそのほか 10%

42万トンの需給ギャップがある。よって小型炉での利用や、電力会社を含む売電事業への食い込みが必須と感じている。すなわち新規需要先の開拓が喫緊の課題。

 

 実際、廃プラ約130万トン(香港向け含む)、古紙類130万トンが中国から還流される。新たな需要先を探すのは本当に大変な問題であるが、一方でそもそもRPFに加工する必要性がどの程度あるのかという、プリミティブな感想も持った。いずれにしろ、「雑品」問題とは「廃プラ」問題でもある、と思い知らされたご講演であった。
 

 

6.自治体における最近の廃棄物処理事情 埼玉県環境科学国際センター 川嵜氏ご講演
 平成23年から25年度に実施された環境省研究総合推進補助事業で得られた自治体における産廃物状況を不燃ごみ、および使用済小型家電で調査。埼玉県のモデル的な自治体は最近着実に1人当たり1っパン廃棄物の排出は減少。後のパネルディスカッションで、国立環境研究所の寺園先生が、この現象の要因を詳しく調査していく重要性を示唆されていた。しかし、食品ロスを含む多くの廃棄物が、何年経っても、排出状況が変わらない実態を改めて思い知った。

 

(次回につづく)

 


(熊本大学 外川健一)

 

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